本当に困りました。
幸い天候はすこぶる良好、気温も高い状態でしたので、しばらくは誰もいない広い樹海の中で今後の作戦についてじっくりと考えてみることにしました。
バイクを修理するにはどうするか。
①帯広方面へ向かうトラックにバイクごと便乗させてもらって、糠平のYHにとりあえず駆け込む ②旭川方面に向かうトラックに便乗させてもらい、修理後再度三国峠を越えて糠平に向かう
しかし旭川までは90km、帯広までは120kmもあります。
旭川は近いけれど、修理してから闇夜の三国峠を走るのはできれば避けたいものです。 かといって帯広までの距離はこれまた半端ではありません。
しかしできることなら、明日の予定を遅滞なく進めるために、宿への到着は遅くなってもいいからバイクを治してから宿に向かいたいという気持ちが強かったのもこれまた紛れもない事実。
しかし!
ここは三国峠まで3kmの超僻地。どっちに向かって行くかどうかを思案している場合でもありません。
時間は刻々と過ぎてゆきました。
*今となっては困り果てた様子を写真に撮っておけば良かったと少々後悔していますが、当時はそんな余裕は限りなくゼロだった。
前進不能に陥ってから40分後、特にヒッチハイクのサインを出したわけではなかったものの、帯広方面に向かう一台の乗用車が停止しました。
「どしたんですか?」
「パンクしてしまって。」
「もしよかったら乗っていきますか?」
「え、ええ。。。。」
躊躇したのには理由がありました。
ここにマシンを放置して山を下れば、この後何らかの方法でまたここに回収しに戻ってこなくてはならないからです。
しかし人様の好意を断るわけにもいかず、また、次はいつ車が止まってくれるかもわかりません。
5秒ほど(?)迷った結果
「じゃあお願いします」と、便乗をお願いしたのでした。
とりあえず糠平YHまでは無事たどり着けることにはなりました。しかしその後どうすればいいのか、皆目見当がつきません。
乗せてもらった紳士は名寄から帯広に向かう途中のビジネスマン。明日帯広で会議があるのだとか。
札幌在住で、いつもは日勝峠を通って行くところが、今回たまたま名寄で別の仕事があったとのことで、めったに通ることのない、ここ三国峠を通過したらしいのです。
車は快調に峠道を飛ばしていきます。本来バイクで通過するはずの三国峠は快晴。大雪の山々が残照に映える、実に荘厳な光景が展開していました。
 2006年撮影 しかしヒッチハイカーと化した今、一時停止すらすることなく、時速80km以上の超高速で峠を一気に下っていきます。
そしてやがて三股集落へ。「三股山荘でコーヒーでも」との目論見は見事に崩れ去ってしまったのはいうまでもありません。
 これまた2006年撮影 三国峠から30分後、車は糠平温泉街へたどりつきました。
丁重にお礼を述べ、ザックとタンクバックを手に温泉街の道路に降り立つ私。
とにかく救援を求めなくてはなりません。落ち着いて冷静に思案するならば、まずは今夜の宿であるYHで相談するべきだったのかもしれません。 が、少々混乱していた私が取った行動はJAFに電話することでした。 事情をカクカクシカジカと説明したところ、こんな回答が帰って来ました。
JAF会員様でしょうか?
はいそうです。
輸送については2kmまでは無料ですが、それ以降は1kmあたり600円がかかります。
そうですか。でも仕方ありませんので救援をお願いします
わかりました。40分ほどお待ちください。
しかしよくよく考えてみれば、
単純に計算しても、三国峠の先からここ糠平まで40kmと仮定すると、
40km x 600円 = 24000円
がかかってしまう計算になります。
さらに修理可能な直近の町、上士幌市街まで23kmあるので、そこまで運ぶとなればさらに13000円。
合計37000円もの運搬費用が請求されてしまいます。
いくらなんでもそれは無理です。払えるわけがありません。この旅行そのもを中止しなくてはならない事態に陥ってします。
すっかり意気消沈した私はとりあえず糠平YHへと駆け込みました。
新築開業して間もない、ずっと泊まりたかったユース。しかしそんなワクワクする気持ちなどまったく湧き上がっては来ません。
私はダメモトでペアレントさんに相談してみました。
するとなんと知人の軽トラを借りてくれるというのです。
すぐにJAFに電話し、救援要請をキャンセルしたのは言うまでもありません。
一筋の光明がさしてきました。

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