一団の時差ぼけに配慮し、初日は11時からのプログラムスタート。 最上階の会議室で行われた。

周囲はスキー場で長野県で言うと志賀高原あたりの風景に似ている感じがする。 ジャンプ台があるのに妙な親近感を覚える。

研修中に自由に飲めるソフトドリンクや果物なども置かれているが、とにかく陳列方法がオシャレである。 このセンスは、きっと普通の日本人には真似ができない。

当ユースホステルは2018年に新築でOPEN.付近の再開発に伴い、MOUN10(マウンテン)プロジェクトの元、マンション、カフェ、宿泊施設などが複合的に付近に建設され、ユースホステルはその核となる施設の一つでもある。 よってバイエルン州直営施設ではあるものの賃貸による経営となっている。 築わずか5年、道理で何から何までお洒落な訳である。
まず、
1.バイエルン州ユースホステル協会会長・Klaus氏からの概略説明

2.同協会部長のMarkus氏による同協会のユースホステル活動の詳細についての説明が行われた。

いずれもプレゼンターの話すドイツ語を通訳者のLaura氏が日本語に変換して出席者へ説明がなされる。
休憩をはさんで2時間強のプレゼンが行われ、明らかになったのは日本のユースホステルとドイツのユースホステルの社会的地位や規模、利用者数の規模がまるで違うということである。 これは知識としては知ってはいたのだが、改めて直接関係者から話を聞くと、日本との格差に驚きを禁じ得ない。
●ドイツ全国のユースホステル数 400軒以上 会員240万、1000万泊
バイエルン州協会 ●会員数25万5千人、ホステル数50軒(うち協会直営35軒、15軒は自治体その他公共団体) ●職員数600~700、事務局員50人 ●年間のべ宿泊者数103万泊、ベッド数7500床 ●学校団体=40%、家族=23% 会議研修=16%
さらに、政府からの補助金が年間100万€と、これまた国からの補助金のない一般財団法人である日本ユースホステル協会とは全く異なっている。
会費については日本とあまり変わることがなく、
●家族会員 23€ ●個人 27歳以上 23€ ●27歳以下 13.5€ ●団体会員 40€
驚くことに海外からの個人客利用はわずか6%にとどまっており、いかにドイツのユースホステルが学校や家族による「学習」を意識した利用が多いかがよくわかるというものでわる。
話を聞き進めていくうちにやはりドイツが環境教育の先進国であること、それに伴う学びを意識したユースホステルの運営が根付いていることにあらためて思い知らされる。
そうしたことを念頭に各施設は独自のプロファイリングを行い
●環境ユースホステル ●カルチャーユースホステル ●アクティブユースホステル ●スポーツユースホステル ●健康ユースホステル
などと分類し、ターゲット層を明確にして集客につとめている。
また、運営に当たっては仕入れ先やプログラム提供先、さらには官庁レベルとのパートナーシップを強固に築き上げ、社会貢献を念頭に運営が行われている点もまた、90%が個人経営の民宿である日本のユースホステルとは隔世の感がある。
日本の場合、昭和60年頃まではどちらかといえば「規律正しさ」や一部のペアレントによる高圧的指導などが、あたかもユースホステル全て共通であるかのような誤解を与えてきたことは否めない。 特にドイツをはじめとする自由を重んずる欧米のスタイルとは全く異なる、日本然とした抑圧的ともいえる運営体制が利用者を遠ざけ、その後改善につとめるものの、それらの誤解が解けないまま徐々に衰退してきたという歴史もある。
残念ながら、過去の日本のユースホステルは「学び」よりも、日本社会の象徴でもある「規律」に偏りすぎてきたのかもしれない。
今回のドイツ訪問にあたって、様々な関連書を読み漁り、この旅においてもいつでも手に取って読むことのできるよう、スーツケースに詰めてきた。

日本人のドイツにおける長年の実体験について語られたこれらの本を読むと、何故ドイツのユースホステルが社会的に受け入れられているのかがわかる気がするし、ユースホステルのみならず、あらゆる社会活動が衰退し、さらには若年層の自殺者が先進国中ダントツに多い理由がわかるような気がして、少し悲しい気もするが。
己を知るには外の世界を知らなくてならないとつくづく思う。
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